不整脈

不整脈とは脈の打ち方が乱れる事で、心臓の拍動の異常によって起こります。拍動は心臓の上部にある洞結節からの電気信号で調節されています。不整脈の多くはストレス、睡眠不足、過労、アルコール過多、喫煙などが重なったとき等に自律神経が乱れて起こるもので、ほとんどの場合で心配ないようです。

しかし、中には心臓の病気が原因で出る不整脈もありますから、「脈拍数が1分間に40以下」「吐き気や冷や汗、意識が遠くなる」「息苦しい」「脈拍数が1分間に120以上」などの症状がある場合は、何が原因で起こっている不整脈かを心電図検査などで確認してもらった方がよいでしょう。

不整脈には大きく分けると1.脈の速くなる「頻脈」2.脈の遅くなる「徐脈」3.脈が飛ぶ「期外収縮」の3種類があります。

「頻脈」は電気が異常に早く作るられるか、電気の通り道が別にできるために発生します。頻脈の原因には、心房細動、発作性上室性頻拍、心室頻拍、心室細動などがあります。
「徐脈」は洞結節で電気が作られなくなったり、途中で伝わらなくなったりするために起こります。徐脈の原因には、洞不全症候群や房室ブロックがあります。
「期外収縮」は本来、電気を発生している洞結節以外から電気が出てくるために起こる現象です。この電気刺激が心房から出る場合を心房性期外収縮、心室から出る場合を心室性期外収縮と呼んでいます。

期外収縮は不整脈のなかで最も多く、心臓に何の異常もないのに起こる場合がほとんどです。ストレス、過労、睡眠不足、カフェインやアルコールのとり過ぎ、加齢などが原因になります。
症状のない場合が多いのですが、規則的に脈が飛ぶときはまず期外収縮が考えられます。その他、胸部の不快感、チクッとする胸の痛みなどを感じることもあります。一過性のもので一瞬または数十秒以内でおさまるのが特徴です。

心房細動は60才代3%、70才代5%、80才代10%と中高年になるほど多く見られるようになります。心拍数が不安定で、脈はリズムも大きさも不規則です。過労などを契機として発作的に心房細動を起こす場合を発作性心房細胞といい、心悸亢進と不安感を強く感じます。

帽弁疾患、甲状腺機能亢進症などが原因のことが多く、高血圧、虚血性心臓病、特発性心筋疾患などによっても起こります。高齢者では動脈硬化、心房筋の老化も原因となります。心臓に重い病気がなければ致命的にならないので、日常生活にもほとんど制限は必要ありませんが、心臓内の血流の乱れによってできた血栓が脳塞栓・脳梗塞などを起こさないように心拍数の調節と血栓症の予防が必要です。

発作性頻拍症は上室性頻拍症が最も多く、発作性心房細胞なども含まれます。多くは心臓に異常のない人が、睡眠不足や緊張、過労などをきっかけにして平常は脈拍が1分間70の人が1分間180もの頻拍発作を起こします。胸痛、血圧低下、冷や汗、めまい、悪心、嘔吐、ときには頻尿を伴います。短ければ1分以内におさまりますが、数日続くこともあります。原因は不明で心臓疾患がなければ予後のよい不整脈で致命的になることはほとんどありません。

応急手当てとしては、息を大きく吸ってできるだけ長く息を止めたり、冷水に顔をつけたり、冷水を飲んだり、指をのどに突っ込んで吐く動作を繰り返したりします。これらの処理は、いずれも迷走神経を興奮させて発作を止めるように働きます。1時間たっても止まらないときや再発を繰り返す場合は受診する必要があります。

心室細動は心臓から血液が送られなくなる最も危険な不整脈で、急性心筋梗塞の死亡原因の多くは心室細動によるものです。ほとんどのケースでは従来から心臓や循環器系の基礎疾患を持っている人が発症しています。心室細動による心機能停止から数分以内に回復できない場合はそのまま死亡してしまうか、運よく回復しても脳や腎臓に重い障害が残ります。心停止による突然死を防ぐために最近の大きな施設には自動体外式徐細動器が設置されています。再発による死亡を防ぐための体内埋め込み式除細動器などもあります。

動悸

動悸は胸がどきどきして不安や不快感を感じる状態です。心臓に原因のある心臓性の動悸と心臓以外に原因がある心外性の動悸に区別します。
心臓性の動悸は弁や中隔の器質的病変によるものと不整脈によるものとに区別します。
心外性の動悸は貧血、甲状腺機能亢進症、更年期障害、自律神経失調症、心臓神経症などが原因になります。

不整脈・動悸の漢方薬

漢方では動悸のことを「心悸」と呼んでいます。不整脈という語句の使用は無く、脈は脈診の中で約30の脈象に分類しています。その中で不規則に飛ぶ脈を「結脈」、規則正しく飛ぶ脈を「代脈」と呼びます。その二つを合わせて、飛んだり抜けたりする脈のことを「結代脈」と呼んでいますが、これらは西洋医学の不整脈に分類されている徐脈や期外収縮に当てはまります。

脈の異常は血脈を主る「心」の病症としてとらえることが多く、それぞれの体質に合った処方を選んで治療します。( )内には良く見られる病名を参考に取り上げました。

「心陽虚型」
動悸、元気がない、疲れやすい、冷えに弱い、息切れ、胸苦しい、めまい感、不安感、汗をかきやすい、舌の色が淡(薄)い、神経過敏傾向…桂枝加竜骨牡蛎湯
「心気陰両虚型」
動悸、結代脈、息切れ、疲労感、寝汗、口の渇き、微熱感、舌の色やや紅、甲状腺機能亢進症…炙甘草湯、生脈散、麦味参顆粒
「心腎陰虚型」
動悸、結代脈、胸苦しい、微熱感、手足のほてり、寝つきが悪い、口の渇き、のぼせ、寝汗、舌質紅 甲状腺機能亢進症、自律神経失調症…天王補心丹
「心脾両虚型」
動悸、疲れやすい、倦怠感、食欲不振、不安感、眠りが浅い、些細な事が気になる、軟便…帰脾湯、加味帰脾湯
「心血虚型」
動悸、貧血傾向、倦怠感、顔色が白く、冷え性、健忘、めまい、よく目が覚める… 婦宝当帰膠、酸棗仁湯
「臓躁型」
心悸亢進、腹部動脈の拍動亢進…苓桂甘棗湯、甘麦大棗湯
「痰熱型」
動悸、口が苦い、口が粘る、イライラ、胸苦しい、眠りが浅い…温胆湯
「寒飲型」
動悸、心悸亢進、胃に水が滞る、食欲不振、めまい、舌苔白、胖大舌(神経症、虚弱体質)…苓桂朮甘湯
「心血虚型」動悸
動悸、いらいら、のぼせ、不眠、胸脇部が張って苦しい(ヒステリー、更年期障害、神経症、)…柴胡加竜骨牡蛎湯
「血脈瘀阻型」
動悸、心臓部の刺痛、口唇・舌が青紫色(狭心症、動脈硬化症)…冠元顆粒、血府逐瘀湯、桂枝茯苓丸、田七人参

漢方薬局からのアドバイス

心臓疾患、貧血、甲状腺機能亢進症、更年期障害、自律神経失調症、神経症、ストレス、過労、高血圧、動脈硬化症など、動悸や不整脈の様々な原因の中には西洋医学では不明であったり、解明できても本人に合う薬が無かったりして不整脈を繰り返してしまい、満足できる状態を得られてない方がたくさんいらっしゃいます。また、病院で出る抗不整脈剤の使用で、既存の不整脈が悪化したり新たに不整脈が発生したりする副作用が出るケースもありますから注意が必要です。

不整脈でいろいろな病院を訪ねて薬を服用しても治まらなかった方が、漢方薬を服用して比較的簡単に治ってしまうことをしばしば経験します。動悸や不整脈を起こしている原因がどこにあるのかを漢方と西洋医学の両面から考え対処していくのが最も合理的な方法だと思います。

動悸や不整脈に使う漢方薬や薬草には、病院の薬との飲み合わせになるようなものはまずありませんから、お気軽に相談してください。