まわりの皮膚とははっきりした境目のある赤い班ができ、その表面には厚い銀白色のかさぶたができます。良くなったり悪くなったりを繰り返し治りにくいのが特徴です。皮膚の表皮の細胞は、常に古くなる表面から剥がれ落ち、新しく生まれた細胞と交代しています。表皮細胞の新生が何かの理由で速すぎるようになると、皮膚の表面を固くするケラチンが十分でないために、異常にかさかさした状態になります。この状態を乾癬(かんせん)といい、かさかさしたフケ状の皮膚を鱗屑(りんせつ)と呼びます。
乾癬になったところは濃いピンク色で、多少隆起しています。表面は白っぽくて厚い鱗屑におおわれ、一般的にかゆみはさほど強くありません。大きさや数はさまざまで、できやすい場所は頭、肘(ひじ)、膝などで、ときには全身に広がることもあります。鱗屑を無理に剥がすと点状の出血(アウスピッツ現象)が見られます。
乾癬が爪にできると爪が厚くなったり、点状の陥没ができたり、爪がはがれたりすることもあります。
乾癬は症状によって次のように分類されています。
欧米では50人に1~2人ぐらい乾癬患者がいるといわれています。日本でも最近増えていて1,000人に1~2人ぐらいるとされていますが、まだ欧米の比ではありません。男性の方が女性の2倍多く年齢的には男性は30~40代、女性は10代と50代の発病が多いようです。患者の血縁にも発症する傾向があるので遺伝性が疑われますが、そればかりではなくて乾癬になりやすい素因にストレス、肥満、感染症など環境誘因が加わって発症すると考えられています。
小児では扁桃炎等の上気道の溶連菌(ようれんきん)感染が誘因となる場合があります。
また脂肪の取りすぎを誘因とする説もあります。その他、外傷、薬剤、精神的ストレス等さまざまなものが誘因になると考えられています。
西洋医学的に原因がよくわかっていないので症状を抑える対症療法が行われています。
治療の基本は外用薬で、副腎皮質ホルモン剤、ビタミンD3が単独もしくは組み合わせて使われます。
湿疹の程度に応じて長波長紫外線をかける紫外線療法(PUVA療法)や、内服療法としてビタミンA誘導体や免疫抑制剤が用いられます。痒みが強い場合は、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤が使用されます。急性期に症状を抑えるのには効果的なのですが、いずれも原因を取り除く治療ではないので中止すると再発したり悪化しやすいことから難治性の皮膚病とされています。
漢方では尋常性乾癬の急性進行期を血熱証、熱毒証、湿熱証の皮膚病として清熱解毒祛湿の処方を主に用います。症状の落ち着いた慢性期には血燥証、血瘀証の皮膚病として養血、祛瘀など体質改善を主にした漢方薬、薬草を選んで治療します。
新しい湿疹が続発し炎症に勢いのある急性期(進行期・活動期)は炎症を鎮める力の強い漢方薬の中から体質や現在の状態にあったものを選びます。
湿疹が落ち着いた状態の慢性期(静止期・退行期)は体質改善効果のある漢方薬の中から体質に合ったものを選びます。
尋常性乾癬は西洋医学での治療に限界を感じて相談に来られる方が多い皮膚病です。漢方でも簡単に治しきれる皮膚病ではありませんが、当店では1年ほどの期間、症状と体質に合わせた漢方薬を続けていただくことで「気兼ねなく温泉に行ける」程度に軽快されたり、副腎皮質ホルモンの内服薬に頼らなくてもコントロールできるようになったケースを現在継続中の方を含めて少なからず経験しています。皮膚科でいただいている治療薬と併用されても飲み合わせになりませんので、なかなか改善しない乾癬でお困りの方はぜひご相談下さい。
尋常性乾癬や掌蹟膿胞症向けのサプリメントとして、ビオチン(ビタミンH)、乳酸菌がよく取り上げられています。少しでも早く改善するための助けになるのなら…との思いでこの数年間漢方薬との併用を試して来ましたが、漢方薬だけの場合と比べてさらに良くなったとの確証は今のところ得られてません。急場をしのぐために西洋薬を使い、本来の乾癬体質改善のために漢方薬の服用と養生をし、その上で余裕があったらサプリメントをためしてみる。そんな使い方が良いと思います。
手のひら(手掌)、足の裏(足蹟)に小さな膿のある湿疹(膿疱)が多発する皮膚病で高頻度に点状陥凹等、爪の変化を生じます。良くなったり悪くなったりして慢性に経過する難治性の皮膚病です。
局所に菌がついて化膿したのではなく、一種のアレルギーの反応によって局所に白血球が集まった無菌性の膿疱です。その反応を起こす原因の多くは不明ですが、扁桃炎など細菌感染に対してのアレルギー反応や、歯の治療に用いられている歯科金属に対するアレルギー反応で生じるケースが一般的に知られています。
その他、掌蹟膿疱症は膿胞性乾癬(かんせん)の限局型であるという説、内分泌説、腸内環境の異常説などがありますが、単一な病因としての説明はついていません。
季節性を指摘する資料はあまり見かけませんが、冬場より蒸し暑い時期に悪化する傾向があるように思います。
原因が解明できてないので主として対症療法が行われます。副腎皮質ホルモン(ステロイド軟膏)やビタミンB3軟膏の外用薬、PUVA療法、必要に応じて消炎剤や抗ヒスタミン剤の内服薬が使われます。
扁桃腺に病巣感染があると判断された場合は抗生物質の内服や扁桃腺を摘出する手術を行うことがあります。有効な場合とそうでない場合があり、有効な場合でも効果の判定には手術後半年~1年ほどかかります。歯科金属に対するアレルギーが誘因として疑われる場合は、それを除去してみることもあります。
漢方では掌蹟膿疱症を湿熱、熱毒による皮膚病として治療します。熱毒旺盛で赤みや灼熱感が強い急性期は清熱解毒の漢方方剤を中心に処方します。急性期を収めて湿疹が落ち着いた状態になった慢性期(静止期・退行期)は体質改善効果のある漢方薬、薬草を服用して根治を目指します。
当薬局の経験上、掌蹟膿疱症は漢方薬が良く奏効する皮膚病と言えます。西洋医学では尋常性乾癬同様に難治性の皮膚病となっていますので、薬局にみえる方の多くは数年~十数年の病歴を経ていらっしゃいます。
その方のステロイド使用歴や病状の軽重によって差がありますが、多くの場合半年前後の服用で目に見えて改善してきます。サプリメントのビオチンや乳酸菌などよりはるかに効果的ですから、1~2ヶ月であきらめてしまわず相談しながらぜひ続けてください。